はじめるまえに……
お待たせしました?
ゆっくりと更新し始めようかと思います
久市さんと正木さんのお話です
書きたい気持ちをまたもや抑えられず
自分の首をぐいぐい絞めておりますw
それでは、
お付き合いくださる皆様
よろしくおねがいしまーす!! m(_ _)m
イライラしながらオレは部署内の出入り口を窺っていた。
電話を入れて、こっちに来ると伝えられてからすでに数十分が経過している。
彼の部署はこの部屋の一つ下で、そんなに時間がかからないはずなのに、待たせすぎなのだ。大体彼はいい加減すぎる……。
深いため息を一つついて、張り詰める気持ちを落ち着かせた。
オレが待っている相手は、営業部の正木 和也(まさき かずや)。実のところ彼の事が大の苦手だ。
彼の噂はそこら中に広まっていて、知らない社員はいない程じゃないかと思う。外見は申し分ないのに軽くて強引。そして略奪愛の常習犯。今までに何組ものカップルが彼の手によって引き裂かれた……なんて囁かれているけれど、実際にその被害を受けた例は見たことがない。当の本人たちも知られたくないからひた隠しにしているのだろう。
けれどオレが苦手意識を持つ理由は、彼のそう言うところじゃない。
そう、彼のプライベートなことになど興味はないと言ってもいい。
許せないのは、彼の根本的なところなのだ。
杜撰でいい加減な性格、それらを隠そうともしない図太い神経。それらを『豪気だ』なんて高く評価する人もいるけれど、オレはそうは思っていなかった。
好きか嫌いかとで判断すれば、確実に嫌いなタイプの人間であることは間違いない。
ようやく現れた正木の姿を入口に見つけて、オレはもう一度深くため息をついた。
「久市さん、すみません。お待たせしちゃって……」
相変わらずへらへらした態度に神経が逆撫でされたように苛つきを感じてしまう。
「いつもの事ですから、気になんてしていませんよ」
本当はすごくイライラしさせられていたけれど、あからさまにそれらを表すのは気に入らなくて、あえて冷たく嫌味に聞こえるように返答した。
彼の態度を見ていればなんとなくわかる。
正木もオレの事が苦手なのだろう……と。だから早く仕事の話を終えてしまいたかった。
「まずは、この領収書。不備があるので再提出してください」
「ええっ、これ……」
正木は見せられたものを見て絶句している。
そりゃあそうだろう。わざわざオレの目を盗んで、別の経理担当に手渡したはずのモノなのだから。
「それから、これですが……」
もう一つの書類を見せる。
それは出張費の申請書で、それも同じ経理担当から入手していた。
「わかっていると思いますが……」
続けて理由を説明しようとして、それを遮るように書類を奪われる。
「すみません。再提出ですよね」
取り繕うようにそう言って、穏便に事を済ませようとしているのが見え見えだ。
「……お願いします」
しぶしぶそう言って引き下がってやる。
大体、やましいことがあるからオレを通さずに他の経理担当に手渡すのだ。一体どうやってオレの目を掻い潜るかさんざん考えたのだろうが、無駄な労力というものだ。
全く堪えた様子も見せずに去って行く正木の後姿を見送りながら、オレはこっそりと三度目のため息をついた。
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