月明かりに堕ちる
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しんと静まり返った屋敷の応接間で高岡裕司はぼんやりとソファに腰かけ過ごしていた。
もうそろそろ来るだろうか…。薄暗い照明に照らされた柱時計を眺めると、ボーンと鐘の音が鳴り響く。その音を8回聞いた直後に、ドンという重々しい扉の開く音が耳に入った。
「裕司さん、どちらですっ」
男の声が聞こえて、それが近づいて来た。この部屋に来れるように玄関からこの部屋に通じるドアは開けておいたからそれに気が付いたのだろう。
「説明していただけますか?」
応接間に辿り着いた男は裕司の顔を見るなり尋ねた。
「なんだ、もう学校から連絡があった?」
予想はしていたことだった。学校に対して多額の寄付金をしている生徒の一人が消えたとなれば慌てて保護者に連絡するに違いないのだ。
とはいえ、その男、三谷貴明は裕司にとっては赤の他人だ。ただひとつ、後見人であることを除いて。
数年前に両親を一度に亡くし、その直後に全寮制の学校に入学することになった。まるで厄介ばらいをされたようで気に入らなくて、そこから逃げ出してきた。だけど、そんなことを言えるはずもない。
「答えになってませんよ?」
あえて感情を押し殺した声で問われる。
集団生活に馴染むこともできない不甲斐ない子どもを、後見人として叱りつけに来たそんなところだと思っていた。
「さぁ、学校に戻ってください」
「イヤだっ」
腕を掴まれ、無理矢理連れ出そうとされるのを辛うじて堪える。
「戻りたくない。だから帰ってきたんだ」
「子どものようなわがままを言わないでください」
その言葉にカッとなる。まだ子どもだと思われていることに。それから、ただのわがままと言われたことにも。
「もう、ただの子どもじゃないし、お前の指図も受けたくない」
ついつい口に出してしまったそれがいけなかった。
しまったと思うより前に、急に腕を掴み上げられたかと思うと、そのまま床に捻じり伏せられた。あまりにも歴然とした力の差に対して、睨みつけることしか出来ないのが悔しかった。殴られるものだと観念していた。
不意に近づいてくる顔が、暗く影を落としていて表情は見えない。
「お前が女ならもっと話は簡単だったのに……」
体の上に馬乗りになった状態で、彼は不気味に笑いながら言った。
「何、言ってんのか……」
口の中が渇いてうまく言葉が出せないくらい緊張していた。
混乱する頭を懸命に働かせて解決策を探すが、見当もつかない。
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父親の親友でその片腕として信頼も厚く、幼いころから接してきたその彼に乱暴に服を捲り上げられ、抵抗する腕は封じられていた。
露出した上半身が外気に触れて無防備に彼の目の前に晒されている。瞬間、理解した。同じ性別であるはずの男に性的な対象として見られている。
「い、やだっ……」
必死で藻掻く。にも関わらず微動だにしない。
ゆっくりと確かめるように平らな胸の間を舌が這う。それから舌先で赤く色づく突起を舐め上げられた。
肌は粟立ち、ゾクッと震える。
「いい反応をするじゃないか」
「そんなつもりっ……」
言いかけた所でまた、刺激を与えられた。指がその突起を摘まみ上げたのだ。
痛みとよく分からない快感にも似たような感覚に言葉を飲んだ。
「んぁっ」
堪えきれず声が漏れる。
指の腹で転がされ、その反対の乳首を舌と唇で刺激されると、自分ではどうしようもない、でも見知ったものが腰から下に沸き起こる。それを知られまいと体を動かそうとして阻止された。
服の上から硬くなったソレをなぞり上げ男が嗤う。
「ココは素直だな……」
器用に片手でジッパーを降ろし、中身を取り出す。
圧迫から逃れたそれは、まるで他人の手に触れたかったかのように震えていた。
もう、見ていられなくて固く目を閉じた。その次の瞬間柔らかいものでソコが覆われた。
「ぁ、……んっ」
確認するまでも無い。
大胆に愛撫を加えられ、張り詰める。
とうに両腕は開放されていたが、今度は腰をがっしりと捕らえられていて逃げることは叶わない。
敏感な尖端を巧みな舌使いで突かれ、吸われる。それに加えて根元の部分もこすりあげるような動きで刺激された。
「やだっ……ぃやぁっ」
追い詰められ、たまらず腰が動く。寸前で唇が離れ、手が大きくグラインドした。勢いよく白い液が自分の腹の上に放たれると、男の手がようやく離れた。
下着ごと服を脱がされると、男の指が放たれた精液を拭う。
「もぉっ、やめ……ぁ……んっ」
制止の言葉も届かず、その指を後口へあてがうとプツリと中に入ってきた。まるで塗り広げるように動くとすぐに抜かれた。
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ホッとしたのも束の間、大きく広げた足の間にグイッと熱く硬いものが押し付けられると力強く押し込まれた。
息も出来ないくらい苦しくて痛い。逃げる体を引き戻され、根元まで咥えこまされたそこは限界まで拡げられ、ミシミシと軋む音がするかのようだ。
「力を抜け」
全身に力が入っていた。腕も足も何もかもピンと張っていて要求に応えられるわけない。
「やだっ……痛ぃ……む、りっ」
泣きそうになりながら訴えるが、男は腰を支えるように持ち上げると、ゆっくり動き出した。途端に内臓を引きずり出されるような痛みが襲う。
「あっ、んぁっ……んっ」
突き上げられる度声が溢れる。辛くて痛くて、苦しい行為に耐えられるはずもなく、完全に泣き声にかわっていた。
何度となく突き上げていた男の動きが止まり、最奥に熱いものが放たれ、ズルリとその総身が抜かれた。ようやく解放され、なすすべもなく男の目の前で放心していると、奥の方からトロリと何かが流れ落ちる。
「はっ……ぁっ」
ビクンっと身体が震わせると、足の間を男が放ったものが伝って流れる。
それを見た男が引き寄せられるようにまたその手を延ばしてきた。
その姿が恐ろしくて、体を縮こませると、また流れ出る感触に襲われた。
逃げ出そうとするが、簡単に捕まってうつむきに腰を高く突き出した体位に変えさせられると、さっきまで無理矢理オトコを咥えこまされていた所に指を入れられる。
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先程までの行為で切れるようなことはなかったものの、痛みを訴えるその部位は簡単に侵入を許し、ねっとりと濡れて指を咥えこみ絡みついていた。
「もっと、教えてやるよ」
反応を見て満足そうにそう言うと男は探る様に指を動かし出す。
最初、何も感じなかったはずだった。でもされているうちにムズムズするような感覚が、徐々に別のものになってくる。
「ひゃっ……あんっ」
考えられないような声に自分でも驚いた。気持ちいい。
そこを刺激されるとたまらず声が漏れる。腰が求めるように動いてしまう。さっきまでとは違い、瞳は潤み、触れられてもいないのに足の間のものは反り返り、透明な液が零れた。
グチャグチャに掻き回されて、気が遠くなる程の快感が身体を貫く。
背後にいた男が再び熱く猛ったモノをそこに押し当てた。
一度受け入れたその場所は違う生き物のように脈打って歓喜した。
圧迫感と快楽に支配され、貫かれる度嬌声を上げ何度も果てた。
声も何もかも絞り尽くされてようやく解放されたのはどれくらい過ぎた頃なのか。力無く床に転がって、男を仰ぎ見るとすっかり平静に戻っているその男は、チラリと冷たく見下ろしただけで、感情を示すことはなかった。
「学校の件は何とかしましょう。もう、戻らなくてもいい」
淡々と男が話す。それを身じろぎすらできず、ただ聞き流すだけだった。
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その日を境に何かが変わった。元より両親が遺した資産は後見人として引き続き三谷が完全に管理していたが、さらに口出しは一切できなくなった。
それまでいた使用人は一掃され、身の回りの世話をするのは、彼の信頼を得て最近雇われた者だけ。言葉を交わす事もなく、ただ部屋の掃除と食事を部屋に届けにくる程度だ。
幾日も経ったある日、珍しくまだ日のある内に部屋を訪れた三谷は、真新しいスーツを裕司に差し出した。
あの日以来、夜ごと三谷は裕司の元を訪れ、覚えさせた快楽を忘れないかのように体にその欲望を穿つ。
外出は叶わなかった。逃げられないように使用人が配置しており、自由に歩けるのは屋敷の中だけで、まるで監獄だ。
「何処に連れて行こうっていうの?」
最後のタイを結びながら嫌味たっぷりに尋ねた。
なかなか上手くできなくて鏡を相手にイラつきながら苦戦していると、見かねた様子で隣からタイを取り上げられた。
「ホテルでパーティーがある。そこで帝都銀行の頭取に会ってもらう。それだけでいい」
帝都銀行と言えば古くからうちのメインバンクとして使っている所だ。そこの頭取と会う…何か仕事でトラブっているのだろうか?
大人しくタイを締めてもらいながらそんな事を考えていた。
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