2012年12月 の記事一覧

闇に月は融けて 12


はじめるまえに……

 思った以上に今回は
 正木さんが可愛いです

 久市さんよりも年下だから
 ちょっとは年下めいたところも見せなきゃね?

 さてさて、それでは
 続きをどうぞっ (≧▽≦)ゞ




 店内は間接照明の明かりのみで薄暗く、テーブルや椅子に至るまで殆どのものが黒でまとめられて、しっとりとした大人な空間を演出している。
 案内された席は店側が一番いいという通り、他の客とも離れていて落ち着いた静かな場所だった。注文はボタンを押してスタッフを呼び出すシステムなので、必要以上に彼らが席を訪れることもない。

「離れ小島……みたいですよね?」

 そんな風に言い表しても納得できてしまうほど、カップルには調度いい感じに個室のようになっていた。
 さすがの正木もこれには計算外だったようで、人づてに聞いただけだったのか少し困ったような顔をしていた。ちょっとした行き違いがあったのかと思うと、それを見るのも楽しい。

「まぁ、オレは気にしないけど」

 正木にこの席のことを教えた人物は、おそらく正木が意中の人を連れていくと思いこんでいたのだろう。そんな背景が見えるようで、一体どんな風に聞き出したんだろうなんて余計な詮索をしたくなる。けれど、正木をフォローする方が良いような気がした。

「ココを紹介してくれた人は何がお勧めだって言ってたんだ?」

 近くにあったメニューを手に取り、正木にも見えるようにかざして尋ねた。
 気を取り直すようにオレからメニューを取り上げると、彼はスタッフを呼び出すボタンを押した。
 料理に関する注文はすべて正木に任せて、オレは自分が呑みたいものを選ぶ。地酒が置いてることを特徴としているから、呑むなら聞きなれたものじゃない方が良い。店のレビューなどを参考にしながら、ようやく候補を絞れたあたりでスタッフが席を訪れた。

 日本酒は綺麗な切子グラスに注がれて運ばれてきた。
 濃い青のグラスと鮮明な赤のグラス。それをオレと正木の間に置く。透明感のあるすっきりとした香りの日本酒と、もう一つは樽酒らしくほんの少し黄味がかった色をしていて木の香りがわずかに鼻腔をくすぐった。

「ではまずは、乾杯としましょう」

 意気揚々と正木はグラスを手にする。
 合わせてオレも手に持つと軽く互いのグラスを重ねた。

「乾杯って、でも何に?」

「そんなの……」

 グラスを口元に運びながら尋ねてみる。
 一瞬正木は考えるそぶりを見せて、それから。

「交流会、なんてどうです? 俺と、正木さんの」

 嬉しそうにそんなことを言うものだから、つられて笑う。

「じゃあ、第1回目の交流会に……」

 軽く手を上に上げて乾杯するような素振りを見せると、同じように返される。
 一口目の日本酒は美味すぎて言葉にもならず、身体に染みわたっていくようだった。
 そこへ運ばれてきたのは見た目にも新鮮そうな刺身の盛り合わせ。
 薄く切られているのは恐らく太刀魚で、口に運ぶとコリコリとした食感が堪らない。

「確かに……、新鮮で美味しいね」

 旨い物を食べることで頬が上がってしまうのを感じながら、感嘆の思いを正木に伝えずにいられない。こんなお店が職場の近くにあるなんて知らなかった。
 それから後は美味しい料理と酒を堪能して時間は飛ぶように過ぎた。こんな風に過ごすのはいつ以来なんだろうなんて、少し懐かしく思い出しながら、正木の話に耳を傾ける。
 あの時会話の内容が飛んだのと同じように、彼の会話のリズムと声のトーンが心地よく感じられて、知らず知らず引き込まれてしまう。
 彼と話すたびに、正木に対する意識は変化して、単純にイラつく存在から一緒に食事をできるほどの相手に格上げされている。
 正木が宣言し予告していた通り、オレが彼に慣れさせられたことに気が付いたのは、食事を終えて帰途につく頃になってからだった。
 それでもそんなに悪い気がしないのは、以前に比べて正木のことを少しだけ分かったつもりになっているからだと思う。
 同じ方向の電車に乗り、隣に座っている彼をこっそりと見る。
 普段からあまり飲みなれない日本酒で、強いと豪語していた割にノックアウトされそうになっている正木は、見るからに眠たそうな眼をしていた。

「1人でもちゃんと自分の駅で降りるんだぞ、正木」

「反則ですよ……、久市さん。そんなに強いなんて知らなかったです」

「年の功って奴だよ、正木」

 グズつく正木に優しく笑って返答する。そんなオレをポカンと見て、それから自分の不甲斐なさを恨むように彼は大きな吐息をつく。

「やっぱり、それは反則です……」

 小さく呟く正木の声がした。


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闇に月は融けて 13


はじめるまえに……

 今日は仕事があったのと
 前夜の準備不足で
 ちょっと短めなのです

 次は再び「高林部長」が登場
 なので
 もしかしたらR指定かなぁ

 あれ? 正木さん出番少なくない??

 ではでは、続きをどうぞっ (≧▽≦)ゞ




 乗り換えの駅で正木が乗っている電車を見送る。
 オレはそこから残り2駅で到着するけれど、正木はそのまま乗り続けて終着駅の近くまで行くはずだ。
 酔いの回った彼は等身大で自然の姿をオレに見せるから、普段職場での彼は自分の実力以上のことをしようとして、背伸びをしているように感じた。
 周りがそのように期待するから、彼は肩の力を抜くことも出来ないのかも知れない。。
 正木がもつ、普段は他人に見せない一面を自分だけが垣間見れた気がした。

「ちゃんと、下車できるのかな……?」

 正木のことを少し心配する。
 そんなことはないだろうと思うけど、終着駅まで行ってしまいそうな気がした。
 最後まで面倒を見てやるわけにもいかないけれど、タクシーでも拾ってやったほうがよかったかな、なんて少し後悔したりして。
 乗り換えの連絡通路を歩きながら、次もこんな機会がある事を期待する。その時はタクシーを利用することにしようか……。
 第1回目の交流会はある意味成功だろう。彼が思い描いていた計画がどうだったとしても、その最大の目的だった『距離を縮める』ことが達成されたのは間違いないのだから。

 前方から風を感じる。多分ホームに電車が来てるんだろう……。この分じゃきっと乗れないとのんびり思いながら、だからといって慌てる訳でもない。大丈夫なフリをしているけれど、やっぱり酔ってることを自覚する。なんだかすっきりとしたいい気分だった。

 12月に入ると忙しさに拍車がかかる。日常業務に加えて、賞与の計算や月ごとの報告書、それから年末調整の準備と手続き。残業は日が経つごとに増えて、同僚たちにも疲労の色が見え始める。
 追いかけられるように週末を迎え、背後に夕日を感じる時間。今日も残業になるのは確定していて溜め息が出そうになる。
 あれから以降、正木との関係は以前までに比べると緩和されたように思う。社内で顔を合わせれば挨拶をするようにもなったし、少しくらいなら会話もする。
 年末にもなるとどこの部署も忙しくなる。だから今は余裕がなくて互いにそれ以上の接触はないけれど、仕事が落ち着いたらもう一度、今度はこちらから食事に誘ってみるのも悪くはないかもしれない。
 現実逃避にそんなことを考えて、楽しいことを頭に思い描くとPCに向き合う。
 その視界の片隅で携帯がメールを受信したことを振動で伝えるのが見えて、せっかく気分転換したのに、また別の胸の重さを感じることになった。


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闇に月は融けて 14 R18


はじめるまえに……

 いやぁー、今回の更新はかなり焦りました!
 帰りの電車がね、
 止まったのです
 帰宅時間が大幅に遅れたので
 もう諦めるしかないかと
 本気で悩んじゃいましたよ(^_^;

 まったくもう、
 勘弁してほしいです

 今回そういうシーンはちょっとしかないですが
 念のためR18という事にさせていただきます

 浮気している二人には新たな展開を
 迎えていただくことになりました
 さて、どうなる?

 年齢の満たない方と
 ちょっとでもダメな人はこちらでごめんなさい
 大丈夫な方のみご覧ください

 ではでは、続きをどうぞっ (≧▽≦)ゞ




 部屋には甘い吐息と荒々しい息遣いが交錯していた。
 仰向きで、大きく足を割り開かれ、その間に高林の身体が密着している。身体には深々と熱い滾った肉棒を突き立てられていた。時間をかけて総身を咥えこんだソコは、事前にローションで充分に解され柔らかく蕩けて体内のオトコをキツく締め上げる。

「んっ……あ、ぁっ……く、はぁっ……」

 苦しくて意味をなさない声を上げながら、彼に向けて腕を伸ばす。わずかに指先が触れたその時、体内の奥底を強く突き上げられて、視界がスパークするように白くなって意識が一瞬飛ぶ。

「やっ、ぁ……は、んっ……」

 背中を仰け反らせると、腰に熱を持った両手を感じる。それに捕まえられ、引き寄せられて一層接合が深くなる。ゾクゾクと這い上がってくる感覚に全身が覆われて、心許なくてギュッとシーツを握りしめた。

「もう、限界……かな?」

 余裕のないオレを見て満足そうに目を細め、グリグリと押し付けるように腰を動かし、強弱をつけて揺らされる。

「ぁ……、とし、つぐさん、……も、はやく」

 薄く目を開け、ねだる様に高林へ視線を送る。
 出会ってからまだ一度も解放を許されていないから、鬱積した欲望は出口を求めて渦巻いて。より強い刺激を欲して身体をくねらせる。

「はるか……」

 オレの名を呼ぶ彼の声が少し上ずっている。

「……んっ」

 彼がオレの期待に応じようとしたその瞬間。突然サイドボードで携帯がブーンと定期的に震える振動音がした。
 高林が眉を顰めるのがわかる。

「……敏次……さん?」

 鳴っているのは間違いなく彼の携帯。オレは不安に捉われながら、彼がどう対処するのか見守るしかない。 
 彼はサイドボードに腕を伸ばし、鳴り続ける携帯を手に取ると迷うことなく通話ボタンを押した。そして、オレの身体に穿ち込んだまま、まるでお茶でも飲んでいる途中かの如くその相手と話し始める。

「……ああ、まだ仕事中だ。……ん、もう少しで切り上げて帰るから。……そうだな」

 彼の言葉と言葉の間に、携帯から漏れて小さく聞こえたのは女性の声だった。すぐにそれが彼の奥さんだとわかる。
 電話の向こう側に自分の存在を知られるわけにいかないと、彼から逃れようと試みる。 それでも彼は放してくれなくて、オレの身体の奥へ自身を楔のように穿ち入れ、小さく不規則的に突き動かされる。
  
「ああ、……先に休んでいていいから」

 後ろめたい行為をしているくせに、それが声に現れることは全くない。それなのにますます身体の中で彼の容積は増して、態度と反応は矛盾している。
 身体の下に押さえつけられ、息を殺し声を出さないようにするのが精一杯なのに、彼は行為を止めようとしてくれる気配はない。
 プレッシャーの中、追い立てられ、攻め続けられていると気がおかしくなってくる。声を出してしまえば楽になる。何もかもが終わる。そのギリギリのラインで踏みとどまる。

 駆け引きのように彼と視線が絡み合う。もうこれ以上は耐えられないと目で訴え頭を振ると、宥めるように額にかかった前髪を彼の指で掻き分けられる。

「じゃあ、おやすみ」

 高林が電話を終了させるのを確認すると、オレは制限していた声を解放した。   



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闇に月は融けて 15


はじめるまえに……

 今回ちょっと短いです
 たぶん、今回はこれくらいがイイかな……?

 久市さんはようやく決意を固めるし
 まぁ、14話のようなことがあるとねー?
 そりゃあ、考えるでしょ?
 あ、ネタバレ?

 ではでは、続きをどうぞっ (≧▽≦)ゞ




 遠くで聞こえていた水音が止む。それに続いてドアが開閉する音がして、間もなくドライヤーの音が聞こえた。
 シャワーを浴びる理由は汗を流すのと、それからもう一つ、オレの匂いを消すためだ。別に何かをつけているわけではなくても、人それぞれに体臭があって、それらは微妙に個人によって異なるのだそうだ。敏感な人ならば、他人のわずかな移り香でさえ気づいてしまうらしい。
 そんな工作をするくらいだから、オレの存在を隠しておきたいのだろうと思うんだけれど。だったら、どうしてあんな危ない橋を渡るような真似をしたのか。
 あの時、もしオレが声を出してしまっていたら……なんて、背中が冷たくなる思いがする。でも充分にその可能性はあった。スリルを感じたかったからなんて、そんな単純なものではないと思いたい。けれど、彼の思惑なんて案外単純でそんなものなのかも知れなくて……。彼の行動には理解に苦しむ。

 それにしてもあの電話……。
 思いもよらない妨害行為は何故だか意図的なものを感じて、止めどない不安が胸いっぱいに広がる。
 確証はないけれど、この関係が彼の奥さんに気付かれているのではないか……。そんな気がしてならない。

「……もうそろそろ、限界……かな」

 引き際ってやつだ。自分がどうだろうと、その時が訪れるのは自然な流れで。それは突然、目の前にやってくる。こういうものほどタイミングっていうのは重要だ。彼の奥さんがどこまで疑っているのかはわからないし、もしかしたら気づいてないのかも知れない。今回の電話が、本当にただの偶然だったとしても、それは今回だけの話で。
 彼を妻の元に帰す、それは『ただの愛人』としては当然の事なんだから……。

 ベッドの上でうつ伏せの状態から身体を反転させて天井を仰ぎ見る。空調の効いた部屋でさえ何も身に纏わない状態では寒く感じられて、身体の上に掛けられた薄いシーツを手繰り寄せると、素肌の上をスルリと滑った。
 気づけばいつの間にか部屋は静かになっていて、洗面台へと続く扉が開く。内側から現れた男はすっかりスーツを身に着けて、こちらへとやってくる。

「遥?」

 枕元の照明がオレの名を呼ぶ彼の顔を照らし出す。
 男っぽく精悍な顔立ちや、逞しい体格をスーツの下に隠しているのに、それを仄めかすような引き締まった胴回り。彼と同年代くらいの人が集まるような場所では、その存在は際立って見えた。そんな記憶までが蘇る。
 
「敏次さん……」

 ベッドに身体を起こし、彼を構成する一つ一つをこの目に焼き付ける。
 見上げるオレに彼の顔が下りてきて、ゆっくりと唇が合わさる。しっとりとした弾力を楽しんで、それから離れた。

「また、連絡する」

「……」

 オレの返答を聞かないままに、彼は背中を向けてしまう。
 だから、お別れの言葉は言わない。この関係でオレに許されているはずの継続するか否かの決定権。いつだってそれを行使することは出来なかったけれど……。
 部屋を出ていく彼の姿を見送り、自分の唇に指を当てる。
 最後に触れた彼の余韻を、もっと長く感じていたかった。



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お知らせ

更新を待ってくださっている皆様へ
昨日はすみませんでしたm(_ _)m

うーん……
言い訳ですが、

「黒子のバスケ」1〜19巻まで
一気読みしてしまいました……

読破したのが21時過ぎ
それ以降は
思考がそちらから戻ってこなくて
頭が疲れたってのもあるんでしょう
二次創作は基本的に読む専門なので、
黒子受なら読む!かも……
あのぼーっとした感じで
誘い受けとか(//w//)←こらっ


今日は更新できると思います
時間はたぶん……
23時くらいを目標に
では、
また作品で( ^_^)/~~~



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