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誤解から生まれた真実 6

 軽い電子音で目が覚める。
 朝の光がカーテンの隙間からこぼれていた。
 キラキラと眩しくて目を細める。ベッドの上で体を起こすと隣にはもう姿がなくなっていた。ぬくもりを探しても自分の体温しか残っていなくてため息をつく。

 いつもそうだ。
 目が覚めるとあいつはいなくなっていて1人っきりだ。それが寂しいと感じるようになったのはいつの頃からなんだろう。
 最初は1回だけの遊びのつもりで誘った。2度目は偶然再開して、3度目を約束した。確認し合ったわけじゃないけど、お互いそれだけの関係と割り切っての付き合いだし、そういう相手を毎回見つけるのも大変だと利害が一致しただけ。それだけだったけど、最近じゃ物足りないと感じるようになってきているのも事実。

 長く1人だけと付き合いすぎたからだろうか。

 肩から羽織っただけのシャツを脱ぎ捨ててシャワーを浴びる。肌の上を大量の湯が流れて落ちた。

 ともかく、なんとかしなきゃ。

 言葉になりそうでならない気持ちを吹っ切るようにそう思った。

 仕事に出勤するといつも元気な2つ下の後輩が浮かない顔して机の前に座っていた。最近、彼女とうまくいっていないようなことを話していたけど、どうやらそれが悪い方向に向かっているようだ。飲みにでも付き合ってやるからと慰めて、ようやく少しだけやる気になった姿を見て一安心した。
 その日の仕事は順調に終わり、定時を迎えるころには片づけも終了していた。

「先輩、今夜どうっすか?」

 約束でしょっと言わんばかりのその言葉に苦笑しつつOKする。
 無邪気なその姿は犬のようで嫌いじゃない。
 いつもの居酒屋に入ると明日が休みだからか、客はたくさんいて待合は溢れんばかりだった。
 仕方なくあまり行ったことはないが感じのよさそうな店を見繕わせて、そこへ向かうことにする。

「へぇ……なかなか良い店じゃないか」

 後輩に似合わない洒落た店の雰囲気に驚いた。
 薄暗くセッティングされた店内は主に間接照明を使っていて、大人な空間を演出している。しかも個室のような形式になっているから周りを気にする必要もない。
 ただ、男同士で来店っていうのはいかがなものかとは思うが……。

「前に彼女と一緒に来たんですけどね……」

 照れたように言う姿にやっぱりと相槌を打った。どうせ、彼女が見つけてきたお店なんだろうとも…。

「で、その彼女とまだ喧嘩してるのか?」

「そうなんですよ……」

 食事の注文が終わるとすぐに本題に入る。
 後輩は飲みながら今までの経緯とかを語りつつ、オレも話を聞いていた。
 数十分後には後輩は完全に酔っ払いになっていた。
 どちらかというと酒には弱いほうだというが、今夜はよっぽどだったのか飲むペースも早くて途中からはオレが止めに入るほどだった。


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